韓国映画『1987、ある闘いの真実』(2017年)~護憲撤廃!
これ、とっても重要な映画だと思います。
絶対に観るべき韓国映画の一つなのですが、
事前に現代韓国史の大まかな流れを知ってから
観ないといけないです。
◎ 全斗煥による独裁政治
大日本帝国が1945年に敗戦した結果、
お隣の朝鮮半島では大日本帝国による支配力が
突然消えてしまい、放置されたので、
一時的に政治空洞が発生しました。
抗日闘争(人民闘争)を展開していた金日成が
ソ連や中国の力を背景に北朝鮮を建国し、
朝鮮戦争を始めました。
これは、アメリカ・ソ連による冷戦下での
代理戦争だと言えますw。
軍隊を持っていなかった日本とは異なり、
韓国はアメリカの後押しを受けて
ベトナム戦争へも出兵しました。そして、
軍部の中から突出した能力をもつ英雄が
現れたのです。それが、
全斗煥(チョン・ドゥファン)という人でした。
映画『タクシー運転手』や映画『光州5・18』は、
1980年の広州事件を扱った映画です。
1980年に軍人出身者である全斗煥
(チョン・ドゥファン)が大統領に就任して
独裁政治(恐怖政治)をやりはじめたのですが、
それを受けての民衆蜂起が光州事件でした。
が、この民衆蜂起は失敗に終わります。
そして、その後1987年頃まで、
この恐怖政治が続くんですねぇ~w。
日本における韓流ドラマブームというのは、
『冬のソナタ』から始まるのですが、
ドラマの時代背景は1998年頃の韓国です。
その頃には、韓国も日本と似たような雰囲気の
民主主義国家になっていたのですが、
今回の映画『1987、ある闘いの真実』
の時代背景である1987年頃の韓国では、
軍部や警察による独裁体制が敷かれており、
世の中は恐怖政治状態だったんですw。
◎ 韓国における独裁政治発生の要因
大韓民国憲法は、アメリカ合衆国憲法を輸入して
作られました。大統領を選ぶ際の選挙は、
アメリカと同じ様に間接選挙方式だったのです。
間接選挙方式では、国民は「中間選挙人」を選び、
その中間選挙人が大統領選(本選)で投票し、
多数票を獲得した候補者が大統領に選ばれます。
この間接選挙方式だと、不正が入り込みやすいのです。
だって、中間選挙人の数は少ないので、
買収が可能となるからですw。
軍部による独裁が発生した大きな要因です。
この映画のラストで、デモをやっている民衆たちが、
「護憲撤廃!」(호헌철폐)と叫んでいるのは、
「間接選挙方式を定めた韓国憲法を改正しろ」
という意味です。
韓国では、1987年に、間接選挙方式が撤廃され、
直接選挙方式へ移行しました。
◎ 映画『1987、ある闘いの真実』
ぜひ映画『1987、ある闘いの真実』を観てください。
すっごく内容のある映画です。
韓国民は、民主化闘争という貴重な経験をしたんです。
武器と組織を持っている国家に対して
無力な庶民たちが立ち上がったのです。
1987年6月のことです。
そして民主主義的な方法で独裁政権を倒したんです。
それは、スゴイことですよぉ。
◎ 韓国映画を観て日本のことを考える
独裁というのは”民主主義の鬼子”だと言われており、
その代表例がヒトラーによる独裁政治です。
ヒトラーは、議会制民主主義の枠組みを利用して、
上手い具合に政権を掌握し、
民主主義や法治主義そのものを否定し、
独裁政治を強行し、世界戦争を始めてしまい、
ヨーロッパだけでなく世界中を恐怖状態にしました。
お隣の韓国でも1980年代に、
この独裁政治を経験したわけですねぇ。
日本でも、東条英機が昭和期に
ヒトラーとよく似たような独裁政治まがい
の政治をやっておりますが、あの当時の日本は
国民主権国家や民主主義国家ではなく、
立憲君主制国家だったので、
民主主義を前提とする独裁政治とは言えません。
東条英機は、国民が選んだ政治家ではないです。
軍部の力が強くなったことを背景として、
昭和天皇が任命した内閣総理大臣です。
それゆえ正確には、日本(人)は
「独裁」というものを未だ経験しておりません。
歴史ドラマを沢山観ている人なら判るはずですが、
人類はこの2000年くらい、
似たような間違いを何度も何度も繰り返してます。
歴史は繰り返す。それは確かな真理です。
日本においても、内閣総理大臣の選任については、
国民の直接選挙で選んだほうが良いのではないか、
という議論があります。