中国ドラマ『大秦帝国』(2006年)その3 歴史解釈学
◎ 歴史学は解釈学である
ドラマ『大秦帝国』の大体の内容=「あらすじ」
については、商鞅 - Wikipediaを読めばわかる。
このドラマのストーリーは史実にほぼ合致している。
史実の通りのストーリー展開であれば、
ラストは悲劇で終わるということになる。
秦を強国にするために尽力してきた才ある商鞅が、
人々の嫉妬心や復讐心のために殺されてしまう。
だから、最終回を観るのが辛かった。
最後の2話を見るために、
数日間の”心の準備”が必要となった(笑)w。
実際に最終回を見終わってみて、納得した。
このドラマを作った脚本家は、素晴らしい。
歴史というものを事実の連続の把握だと考えず、
解釈学だということを判っている。
私は偉大な歴史学者2人からご指導いただいた。
2人の先生に共通していたのは、
「歴史学は解釈学である」という学問姿勢だった。
正確な史実を調査して報告していくのが
歴史学(者)の役割だというわけではない。
現実に起こった複数の事実を前提にしつつ、
背景でどのようなことが起こっていたのか
を推察して、人間活動というものの真理を
探究していくのが歴史学だという姿勢だ。
歴史学は解釈学であって、暗記科目ではない。
歴史学と考古学は違うものだ。
様々な歴史解釈が可能であって正解はない。
歴史は唯一絶対的な事実ではなくて、
相対的なものだ(相対主義的歴史観)。
歴史学において考察されるべきは
事件に関係した人間や人間関係であって、
事件それ自体ではない。事件の背景が重要だ。
その事件が何故起こったのか?
ということを考える必要がある。
そういうことは教科書には書かれていない。
だから自分で調査・研究していく必要がある。
商鞅は自らの死をもって法治主義を完成させた。
秦の旧体制(貴族階級)を崩壊させ、
秦を強国へと導くための礎となるために死んだ
というのがこのドラマ脚本家の歴史解釈だ。
素晴らしい歴史解釈だと思った。