韓国映画『共犯者たち』공범자들(2017年)~権力と闘う心の準備
映画『共犯者たち』は、ドキュメンタリー映画です。
2008年以降の現代韓国に起こった
マスコミ統制の史実が淡々と描かれております。
映画賞はとっていないようですが、
こういう内容のある映画は、
是非とも観ておくべきでしょうねぇ。
民主主義や表現の自由を考える上で、
非常に重要なテーマを扱っているからです。
◎ 李明博によるマスコミ統制
2008年、韓国大統領であった李明博は、
政権を批判する報道を規制しようと、
KBSやMBCなどの放送局に圧力をかけ、
警察や検察を使って記者を逮捕したりしたんです。
政権に親和的な代表(社長)を送り込み、
政権に批判的な人たちを退職させたんです。
これは言論の自由に対する侵害です。
そういう憲法に違反するようなことが
実際に起こっていたんですよw。
ビックリですねぇ。
先進国ではありえないことです(笑)。
◎ 朴槿恵によるマスコミ統制
2013年、朴槿恵(パク・クネ)が
女性初の大統領に就任しましたが、
マスコミへの言論統制は継続されましたw。
この映画『共犯者たち』の中には、
朴槿恵も悪者として登場しております。その後、
朴槿恵は、崔順実ゲート事件などの一連の不祥事に
より大統領職を罷免され、逮捕・起訴・刑確定・
収監されましたが、2021年12月31日付で行う
新年の特別赦免・減刑・復権措置により釈放されました。
◎ 日本のジャーナリズムのことを考える
かつての大日本帝国が戦時中に
情報統制を大々的にやりましたね?
新聞社やラジオ・映画館などのマスコミは、
大日本帝国が流す公式報道(大本営発表)
を鵜呑みにするような形で国民へ情報を
伝達していました。その反動で、
戦後になってGHQ(マッカーサー)が
日本にジャーナリズムを根付かせようと
いくつかの大学に「新聞学科」を設置させました。
戦後の日本においては、明確な形では、
政治がマスコミに介入した例は記憶にはないです。
マスコミ(の記者)たちが
政府に対して徒党を組んで対立したというような
事実も記憶にはないです。
それでは、日本は韓国に比べて先進国か?
と言えば・・・、それもちょっと疑問です。
日本では、マスコミが現政権を
大々的に批判することは殆どないですね?
日本では、政府が発表する公式情報を
ただテレビやラジオなどで流しているだけです。
独自取材や証拠を集めて政権を批判する、
ということは滅多にない。
政権は殆どず~っと保守政党が担当しており、
大きな政策変更もないし、
マスコミのほうだって、どちらかというと
保守的な傾向があります。
日本ではジャーナリズムが育っていないのです。
放送内容だって、娯楽番組が主体でしょ?
本当のジャーナリストが殆どいないんですよ(笑)w。
だから、現政権とマスコミが敵対することは
起こらない。仲良くしているのです。
マスコミ人に、ジャーナリズム精神がないのです。
それゆえに、戦後日本では、
政権がマスコミ統制をする必要がなかっただけ。
私はかつて学生時代に、GHQ公認の新聞学を
修めた先生から、『マスメディア論』という科目
の授業を1年間受けました。
頭でっかちな机上の空論でした(笑)。
覚えているのは、沈黙の螺旋(ちんもくのらせん
: die Theorie der Schweigespirale)のことだけ。
そこが重要とされ期末試験に出たからです。
が・・・、あまり役に立たないですw。
この映画『共犯者たち』のほうが事実に即しており、
すっごく勉強になりますよ。
この映画『共犯者たち』は、
2008年~2017年頃の韓国の様子を
描いているのですが、
決して良い国とは言えないですねぇ。
しかし、日本と比べて悪い国か?
と言えば・・・、そうとも言えないと思います。
日本の場合には、正常でないことが常態化しており、
今後も改善の見込みがないまま停滞している。
隣の韓国の場合には、今世紀に入ってから、
国民たちによる反乱が起きたわけです。
公共放送や新聞と言えども、
政治利用されている事実が発覚して、
韓国民はうかつにはマスコミ報道を信じていない。
その点が日本に比べて良いことですねぇ。
日本人は、マスコミ報道を信じているでしょ。
テレビばっかり見ているでしょ(笑)?
テレビを信用しているでしょ?
日本人よりも、現代韓国人のほうが、今後、
本当の意味での民主主義を実現する可能性があります。
民衆の心に、権力と闘う心の準備ができているからです。
この映画の監督である崔承浩(チェ・スンホ)は、
2012年にMBCを解雇されたのですが、
この映画がラストで映し出している
労組側長期ストライキ後の2017年12月に
MBCの社長に就任しております。
当時の大統領は、文在寅(ムン・ジェイン)です。
大統領府による長いマスコミ統制がようやく終わり
正常化されたというハッピーエンドです。
それから9年経った今、
韓国社会はどうなっているのか?
さらに調査しないといけないですねぇ。
◎ YBー シロナガスクジラ 흰수염 고래 (Blue Whale)
映画『共犯者たち』の中の挿入歌がとっても良いです。
普通、ドキュメンタリー映画には、
歌なんて出てこないものなのですが、
この映画では素晴らしい曲が使われております。
◇YBー シロナガスクジラ 흰수염 고래 (Blue Whale)
歌詞翻訳してみようかとも考えたのですが、
日本語字幕版映画の中で訳されているので、
興味のある人はそっちを見てください。