日本映画『動乱』(1980年)~ 515事件・226事件とその背景

 [N・Sさんwrote:]

「動乱」最後まで見ました。二二六事件は

名前だけ知っていただけで説明は出来ません

でした。この映画を見ただけで全て解ったとは

言えませんですが何となく解りました。



N・Sさん...

私のほうも、映画『動乱』を観終わりました。


◎ 515事件の背景


昭和7年から始まっていますね。

東北の仙台が舞台です。

東北では冷害による大飢饉が発生し、

貧しい庶民たちは、食い扶持を減らすために、

男子を軍隊へと送り出し、

そして女子を吉原へと売ったのです。

生まれて間もない赤子は埋めるなどして、

間引き(まびき)した=こっそりと殺したのです。

あの時代の日本は、貧しかったのです。

東京でも暴動が発生しておりました。


かつてN・Sさんが観た映画『男たちの大和』

の中にも遊女が出てきていたでしょ?

あの遊女は、似たような背景事情を抱えていた

と想像されるのです。


そういう日本の社会背景を憂いた青年将校たちが、

515事件を起こし、政府の転覆をはかりました。

「話せばわかる」⇒「問答無用」

という感じで殺された首相は、犬養毅です。


◎ 軍法会議


軍法会議の様子も映っていました。

私は、現代アメリカの軍事法廷に関しては、

アメリカ映画『アフューグッドメン』の中で

観たことがありますが、

かつての日本の軍法会議については、

今回の映像が初めてです。


アメリカの軍事法廷は、手続的にしっかりやっており、

大学院を出た法律家資格を持つ軍人さんが

検察官と弁護士の役に分かれて、

時間をかけて裁判手続をやります。

しかし、今回の映像に映っている日本の軍法会議は、

実にお粗末ですねぇw。

あれでは、今の北朝鮮と全く同じです(笑)。

逆に言うと、今の北朝鮮は、

かつての日本と同じなんですよww。

着ているものもよく似ているじゃないですか。

西洋人があの映像を観たら、

北朝鮮の映像だと思うはずです。

処刑=銃殺刑のシーンだって、

北朝鮮関連映像とまったく同じに見えます。


なお、N・Sさんが誤解しないように

以下あえて書いておきますが・・・、

かつての大日本帝国は、天皇主権国家であり、

軍事に関しては天皇大権に属していたので、

軍隊内部で起こった事件については、

通常の司法裁判所の管轄に属しておらず、

軍法会議=軍事法廷で扱われたのです。

しかも、非公開です。

現代日本とは、全く違いますので、

安心してください(笑)w。

現在の日本国憲法は「特別裁判所の設置は許さない」

と規定しており、このようなことは起こりません(笑)。


が、憲法を変えて天皇中心の国にしようという

最近の右寄りの国会議員たちは、

当然、こういう軍法会議=軍事法廷も復活させようと

考えているはずです。

念頭に置いておいてください。

新聞などには書かれていませんし、

テレビ解説でも扱われていないでしょうが、

当然そういうことになっていきます。

現在の日本国憲法を守ったほうが無難なのです。


◎ 226事件の背景


『動乱』の第二部は、日本が舞台ですね。

当時は、軍人や官僚の親族・親戚には

犯罪者がいないことが必要とされておりました。

確か・・・

直系・傍系の6親等以内の親族が対象とされて

詳細に身元調査されていたはずです。

あの馨という女性(吉永小百合)は、

死刑になった重大犯罪者の姉という設定です。

天皇の臣下である大日本帝国陸軍士官の正妻には

なれません。

もし高倉健のほうが、軍人の仕事を辞めれば別ですが、

その場合でも、社会的非難を受けるでしょうから、

かえって女性や子供にツライ思いをさせるでしょう。

真面目な高倉健としては、

そんな無責任なことはできなかったんですねぇw。


◎ 北一輝のこと


今回の映画では、北一輝(きたいっき)が

全然登場してこなかったですね。

北一輝は新潟出身の思想家であり、

226事件の理論的指導者として、

やはり処刑されました。


N・Sさんは、新潟出身でしょ?

いずれ他の映画やドラマで、

北一輝という人物のことを研究してみてください。

この点、宿題として残りました(笑)。



 歴史ドラマ・映画研究 観賞備忘録 index