韓国ドラマ『花遊記<ファユギ>』화유기 (2017年)~ その2 『西遊記』の日本・韓国での変容

 N・Sさん...


私のほうは、ようやく『花遊記<ファユギ>』

を観終えました。

所詮・・・妖怪モノの妄想物語だろう・・・

って、ちょっと見下して観始めたのですが、

なかなかどうして・・・、

内容が非常にある良いドラマでした。



◎ 太平洋戦争直前期の京城(ソウル)


第5話では、主人公たちがタイムトラベル

するというような物語になっていますね。

1938年頃の京城(ソウル)の様子が

見えてきます。

何処かで見たことのある街並み・風景ですよ。

路面電車が走っており、

あの当時の東京・銀座のように見えます。


日本の旭日旗も見えます。

あのとき、日本が占領(併合)していたのです。

親日的な朝鮮人もいれば、

好戦的な(独立を目指す)朝鮮人もいました。

その雰囲気を感じ取っておくべきでしょう。


まだ太平洋戦争には突入していない

わりと平和な時代です。

小学校では日本語教育が実施されておりました。

日本の公務員に採用され日本人の名前を使って

日本人として生きる選択をした人もいました。


他方で、朝鮮の独立を目指して

水面下で闘っている人もいました。

第5話の中にも、日本に協力的な人たちと、

闘っている人の両方が描かれていますね?


◎ 現代韓国人の世界観


今回のドラマ『花遊記』では、

日本の『西遊記』とは違うキャラクターが

登場してきますね・・・。


とりわけ牛魔王が大活躍しています。

中国の原典である『西遊記』のほうにも、

もちろん牛魔王が登場します。

牛魔王は、孫悟空の義兄弟なのです。

『三国志』や『輝くか、狂うか』を観た

N・Sさんなら、「義兄弟」って判りますね?

”桃園の誓い”を覚えていますね?


今回のドラマ『花遊記』では、

牛魔王の秘書として”犬”(マ秘書)、

それから竜宮の王子=”タコ”、

さらに、”冬将軍”や”夏将軍”、

”ゾンビ”や”神女”が登場しています。

これらは、中国の原典『西遊記』にはない

オリジナルキャラクターです。


「竜宮」っていうものの発想は、

日本と朝鮮の昔話に現れてきます。

両国に同じ昔話が伝わっているんですよ。

N・Sさんもよく知っている昔話です。


「冬将軍」や「夏将軍」って・・・、

西洋の『童話』から引っ張ってきたのかなぁ?

「ゾンビ」が登場するのは、

西洋の影響だと思われます。

現代韓国はキリスト教国であり

西洋の発想が日本以上に国民の心の中に浸透している

と思われます。


「神女」(しんにょ)は、

朝鮮(や日本)のモノでしょう。

古朝鮮時代から高麗時代までは神道の影響が強く、

予知能力や霊能力のある女性が「神女」と呼ばれ、

政治や戦争に大きな影響を及ぼしたのです。

日本で最も有名な「神女」は、卑弥呼です。

現代日本の神社にいる巫女(みこ)は、

「神女」の代わりでしょう。


いかがですか?

この『花遊記』というフィクションドラマからも、

現代韓国人が、どのような世界観を持っているか

垣間見れますね?

中国の影響を受けつつ、西洋の発想(文明)の影響も

受けている。

そして我々アルタイ人共通の伝統にも縛られている。

興味ぶかい世界観ですよ。


◎ 『西遊記』の日本・韓国での変容


[N・Sさんwrote:]

ファユギを見ました。日本の孫悟空とは全然違います。

ところで孫悟空は日本、中国何処の話なのでしょうか、

クレームは無いのでしょうか?


違うほうが面白いじゃないですか(笑)。

どこまでが原典に忠実で、

どこからが今回のドラマのオリジナルなのかを

見つける楽しみ。それが、大人の観方ですよ。


『西遊記』は、中国で作られた物語です。

明の時代(16世紀)に書かれた小説ですが、

作者は不明ということになっております。

日本には、江戸時代初期=1600年代前半に

朝鮮半島経由で伝来したものと推測されます。

朝鮮からの使節団が日本へ持ち込んだのでしょう。

が、日本の庶民がこの『西遊記』の内容を知るのは、

江戸時代末期(1800年代前半)です。

200年間のブランクがあるんです。


『西遊記』は、『三国志』とともに、

人類共通の古典ですから、著作権なんてありません。

アジアに住む人たちの殆どが知っている物語です。


N・Sさんの知っている日本の『西遊記』の話は、

中国の原典とは内容がかなり違いますよ。

本場中国の『西遊記』の映画も観ておいたほうが

良いでしょう。


その中国の原典を知った上で、その物語が

朝鮮や日本でどのように変容されたのか

を追究していくと、国民性の違いを発見できて、

面白いはずですよ。



 歴史ドラマ・映画研究 観賞備忘録 index