BBC制作ドラマ『レ・ミゼラブル』Les Misérables(2018年)~ その4「神の法」が革命を正当化する

 [N・Sさんwrote:]

レ・ミゼラブル第4話を見ました。

警官が悪者に見えますね。


◎ 哲学の精神から法律を解釈・運用する必要


N・Sさん...

ジャベール警部は、優秀な警察官であり、

真面目な公務員です。

法律に従って規則正しく動いております。

そして彼はそういう生き方こそが「正義」だ

と堅く信じております。

規則に縛られた生活はけっこうラクなんですよ。


しかしながら・・・、

現実の人間を見ていないのです。それに、

規則よりももっと大切なものがあることに

気が付いていないのです。

法律というのは「正義」を実現するために

人間が作った道具なのですが、

その法律の真髄は哲学に支えられております。

哲学の精神から法律を解釈・運用していかないと

いけないです。

ジャベール警部には、それが出来ないのです。

そこまでの勉強はしていないし能力がないのです。

上が決めたことをただ遂行しているだけなのです。

その点が彼を「哀れな人」たらしめている原因です。


◎ 「神の法」が革命を正当化する


ジャベール警部がシャン・バルジャンを

執拗に追いかけるのは、自分の生き方・人生観を

超えたジャン・バルジャンに憎しみを抱いている

からです。ジャン・バルジャンのほうは、

「神の法」に従って生きようとしております。

ジャン・バルジャンがかつて神父からもらった

銀の燭台を大切にしているのは、

「神の法」を基本にして生きよう

としていることを現わしております。

法律や規則に型どおりに従って生きるよりも、

見えない神に従って生きるほうが難しいのですよ。


つまり、ジャベールとジャン・バルジャンの対峙は、

人間の法 vs 神の法 の対峙として

置き換えることが可能だと思います。

人間の法は、頻繁に変わります。

政治体制が変われば、それに応じて変化します。

ところが、「神の法」は不変です。

原作者のヴィクトル・ユーゴーは、

「神の法」に従って生きるべきだと考えているのです。


そして「神の法」に従うことを是とした場合、

現行法・現体制に反抗する大義名分が出来ます。

人間は本来的に自由・平等なんだという

「神の法」を前提にした場合には、

それに反することを強要する法や現体制を

破壊しても良いという結論になり、

革命を正当化づけることが可能になりますね?


[N・Sさんwrote:]

レ・ミゼラブル第5話を見ました。

修道院にずっと居れば良かったのにと

思いますが、やはりそうはならないですね。


◎ 哀れな人たち


N・Sさん...

私のほうも、『レ・ミゼラブル』第5話まで

観終わりました。

今回、『ラ・ミゼラブル』を観直すことができて、

私のほうも非常に刺激を受けております。


テナルディエ夫妻という人たちを覚えておりますか?

コゼットを預かったセコイ夫婦です。

周囲の人を騙してばかりいた人間のクズです。

あの人たちが、名前をかえてまた登場してきます。

娘には、物乞いをやらせているようです。

現代で言えば、コンパニオン派遣業かな?


コゼットに一目ぼれした法学生ポンメルシーは、

第1話で出てきたポンメルシー大佐の息子です。

テナルディエは、戦死した兵たちが身に着けていた

貴金属類を盗んでそれを元手にして

店を開いたのですが、ポンメルシー大佐は

テナルディエのことを自分を助けてくれた恩人だ

と勘違いしたまま死にました。


ポンメルシーの下宿先の管理人(お婆さん)にも

見覚えがあるでしょ?

かつてジャンバルジャンとコゼットが住んでいた

アパートです。他人のことが気になってばかりいて、

のぞき趣味があるようです。

何かあるとすぐに警察を呼ぶw。

そういう人は、よくいますよね?


このように、登場人物は、いたって単純です。

よほど縁の深い人たちなのでしょうw。


◎ 修道院という場所


コゼットを演じる女優さんは、

まるでフランス人形のようです。

修道院の中で最高の教育を受けたようです。

ピアノも弾けるんですねぇ。


N・Sさんには信じられないかもしれませんが、

あの修道院には、

幼少の頃に選ばれた修道女だけが集まっており、

男子禁制で(つまり神父もいなくて)、

門が閉鎖されており、外界との交流はなく、

外に出かけていくこともなく、

ただひたすら神に祈ることだけを目的に

運営されております。

現代にも、そういう修道院があります。

小さな空間の中だけで、女が子供を産むこともなく、

男と接することもなく、一生を終えるのです。

祈るだけのために最高の教育を受けているのですw。

一生を安全に、何不自由なく、

そして気高い精神に満ちて生きるのですが、

現実の人間を見ておりません。

それもまた哀れだと思いませんか?


おそらく原作者のヴィクトル・ユーゴーは、

人間に無理を強いるカトリックの教義についても

疑問を持っているのでしょう。


◎ ハンカチを落とすシーン




コゼットが法学生ポンメルシーと知り合う機会を

作るために、わざとハンカチを落としました。

あれって、他のドラマや映画などでも、

よく使われているシーンですよね?

見たことありませんか?

女のほうが男に声をかけるのはハシタナイので、

ハンカチなどを落とすことで

男にチャンスを与えているのです。


先般の残業の帰り道、私の前を歩く女性が

黒い布状のようなものを落としましたw。

(あれ?これって・・・

どこかで見たことのあるシーンだな・・・)

と思いました。

あれは多分黒いストッキングだと思います。

しかし・・・、

私はその黒い物体を拾って追いかけることなく、

そのままの状態にして通り過ぎました(笑)w。


次の日にも同じ場所に落ちたままでしたから、

きっとその女性も落としたことに

まったく気が付いていないのでしょう。

おそらくストッキングが破れて脱いだのでしょう。

捨てるつもりのものだったのでしょう。


女性は、ハンカチは落としても良いですが、

ストッキングは落としてはいけないですよ。

もし私がそれを拾って追いかけたら、

私は変態男と思われてしまうじゃないですかw。



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