日本映画『二百三高地』(1980年)~ その2 日本は日露戦争に勝ったのか?

  [N・Sさんwrote:]

『二百三高地』最後まで見ました。今、平和なのは

この様な犠牲があった上に成り立っているのだなうと

思います。しかしあの「突撃~」の一言で立ち向かう

のは無謀な戦略ですな。


N・Sさん...

先のメールでも書きましたように、

今回の映画『二百三高地』には、

かつての大日本帝国プロパガンダの影響が感じられ、

偏った視点が紛れ込んでしまっております。

が・・・とはいえ、

今回の映画の実写映像部分はよく出来ております。

現実に起こったことをよく再現できています。

実戦の場で”愛は死にますか♪~”という唄が

BGMで流れることはなかったですが(笑)、

いまから120年ほど前に、あんな場所で、

あのような感じで戦闘が行われたわけです。

それを知ることができて、良かったですねぇ。




◎ 日露戦争勃発の背景


どうして日本人はあんな場所へわざわざ

出かけて行ったのか?

その点を考えてみてください。

すでにN・Sさんには、その点を考える

歴史考察力が備わっているはずです。

飛行機はないですから船で朝鮮半島まで渡り、

車もないですから歩いて行ったのです。

大変でしたねぇ~w。

どうしてそんなことをしたのか?


かつてN・Sさんは、韓国の長編ドラマ

『明成皇后』を観ました。

明成皇后は、日本側に暗殺されてしまったのですが、

彼女の遺言みたいなものが引き継がれました。

朝鮮という国は小さな弱い国だったので、

周囲の大きな国を動かすこと(戦わすこと)で、

微妙なバランスを作り上げて、

朝鮮民族の生き残りを狙っていたのです。


あの日露戦争直前の朝鮮半島を想像してみてください。

日本軍が王宮に押しかけてきており、

事実上の政治は日本がやっておりました。

朝鮮王朝(高宗)側が「日本に出て行ってもらいたい」

と思うのは当然でしょう?

だから、朝鮮王朝側(高宗)は日本軍を追い出すために、

明成皇后の遺言を思い出して、ロシア軍を呼んだのです。

”凍らない港”を提供することで

朝鮮を守ってもらおうと考えたのです。

日本は、朝鮮半島における事実上の支配権(利権)

を失いたくなかったので、

だからあんな場所で戦争が起こったのです。


◎ 日本は日露戦争に勝ったのか?


日本とロシアとの国力には、大きな差がありました。

あの朝鮮半島をめぐる日露戦争の結果、

日本側は沢山の犠牲を払いました。

しかしロシアのほうは、ほとんど無傷ですよねぇ?

戦艦や巡洋艦の多くと歩兵部隊の一部を失いましたが、

ロシア本国のほうは、無傷です。

ロシア本国の多くの庶民にとっては、

(どこで戦争をやっているのだろう?)

っていう感じだったはずで、

戦争をしている感覚はなかったです。

あの日露戦争に駆り出されていたのは、

ロシア王朝側の貴族階級出身者と

立身出世を狙う志願兵だけでした。

ロシア国民は、本気では戦っていなかったのです。


むしろロシア王朝を倒して、

新しい国を作ろうという革命勢力が出てきておりました。

レーニンなどの社会主義者たちです。

日本政府は、スパイをロシアやヨーロッパに送り込み、

その社会主義者たちの活動資金を提供して、

ロシア帝国を内部崩壊させる作戦をとりました。

ロシア帝国は、内部の反乱分子たちの動きを押さえるために、

日本と戦争している余裕がなくなったのです。


そういうことで、日本は一応、”日露戦争に勝った”

という状態を作り上げたのですが・・・、

しかし、日本はほとんど何も得られませんでした。

朝鮮半島における事実上の支配権の継続と、

凍った樺太の南半分だけです。

あんな凍った島は当時のロシア帝国にとっては

どうでも良い要らない島でした。

もともと日本側が仕掛けた戦争だし、

ロシア帝国を完璧に負かしたわけではなく、

日本が勝っている状態で和議をしただけなので、

賠償金をロシア帝国政府から奪うことはできなかったです。

なので、日本はド貧乏(大赤字)になってしまったのです。

実質的には、日本の負けですw。


そういうことで、朝鮮半島への執着心が逆に強まり、

朝鮮半島に日本の軍隊を駐屯させて、

朝鮮国民から土地を奪い、

”いずれ中国や満州へ侵略していって元を取ろう”

なんて考え始めてしまったのですよ。



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