BBC制作ドラマ『レ・ミゼラブル』Les Misérables(2018年)~ その3 夢やぶれて(I Dreamed a Dream)
N・Sさん...
私のほうは、頑張って、
なんとか第3話を観終わりました。
何度も動画再生を止めて煙草を吸いにいきました。
あまりに哀しすぎる内容だからです。
ファンティーヌは、教育を受けていない
最下層階級の娘なのです。
家族もいない。孤児なんです。
10歳で近隣の農家へ出稼ぎに行き、
15歳でお針子としてパリに出たんです。
19歳で一人でコゼットを生み、
27歳で死んでしまうのです。
◎ マグダラのマリア
『新約聖書』の中に、マグダラのマリア
という娼婦が登場します。
キリストから罪を許され、付き従います。
『レ・ミゼラブル』のファンティーヌのモデルは、
このマグダラのマリアだと思っております。
娼婦であっても、いろんな事情があって、
そういう生き方をせざるを得なかったのです。
マグダラのマリアは、聖人の一人です。
現代アメリカ映画の中に、
『プリティウーマン』という有名な映画
があるのですが、そのヒロインはやはり娼婦です。
『レ・ミゼラブル』のフォンティーヌとは違って、
ハッピーエンドで終わります。
『新約聖書』『レ・ミゼラブル』そして
『プリティウーマン』は、繋がっていると思われます。
第3話の内容は、精神的にツライ内容なのですが、
ここを乗り越えれば、面白くなっていきます。
N・Sさんも、なんとか頑張って
第3話を乗り越えてください。
◎ 夢やぶれて(I Dreamed a Dream)
今回のBBC制作ドラマはミュージカルではないので、
歌が全く出てこないのですが、
ミュージカル版のファンティーヌが歌う
『夢やぶれて(I Dreamed a Dream)』
という曲は、非常に有名です。
ぜひ見て聴いておいたほうが良いですよ。
◇ I Dreamed A Dream (Anne Hathaway)
◎ ジャベール警部
ここで、ジャベール警部のことについて
触れておきましょう。
今回のBBC制作ドラマの中では
黒人俳優が演じていますが、
原作では黒人とは書かれておりません。
「服役囚の父と、同じく服役囚のトランプ
占いのジプシー女の子供」
として「トゥーロンの徒刑場で生まれた」、
「ブルドッグのような顔つきの男」
ということになっております。
ジプシーっていうのは、
ヨーロッパを流れ歩きながら生活する
最下層階級だったのですが、
具体的にどのような人たちであったか
については分かっておりません。
もしかしたら・・・、
黒人の人もいたかもしれません。
今回のジャベール警部は、
まさにブルドックに見えます。
彼は、自身の外見や生まれについての
コンプレックスを抱えております。
それゆえだと思うのですが、
自分と似たような最下層階級の人たちを
憎んでおりますw。そして、
警察官になって弱者をイジメようと考えるのです。
いじめられっ子がいじめっ子に変身する
ような感じです。彼は、
法律を”形式的に適用”しようとばかりして、
人間味のある(温かみのある)法運用を
する心の余裕がなかったのです。
そこが彼の哀れな点です。
彼は、今後、ジャン・バルジャンを
追い続ける立場なのですが、
決して強者というわけではなく、
やはり「Les Misérables 」=哀れな人たち
の中の一人なのです。
◎ 神父さんやシスターたち
この『レ・ミゼラブル』に登場する人物は、
すべて”哀れな人たち”なのです。
どういう点が哀れなのか、よく考えてみてください。
神父さんやシスターたちも”哀れな人たち”です。
今回のドラマでは、触れられていませんが、
あの神父さんには、そういう過去があるんですよww。
それに、教会は、王の庇護を受けていたので、
王政支持者なのです。
ナポレオンを軽蔑しております。
ファンティーヌを看取った修道女(看護師)は、
まさに聖人に見えます。
生涯ウソをついたことのない真面目な
素晴らしい女性なのですが・・・、
彼女は、ジャンバルジャンを逃がすために、
ウソをつくことになります。
犯人隠避罪に該当する行為です。
これは、ジャン・バルジャンを慕う気持ちから
とっさに出たウソであり、
神やイエスのことだけを想うべき
修道女(シスター)としては、
”堕落”した行為であり、
修道女(シスター)失格です。
今後、彼女は、そのことで
思い悩む人生を歩むのでしょう。
◎ 人間全てが哀れな存在
このドラマを観ながら、
この人には、どのような哀れな点があるのだろう?
と考えてみてください。
突き詰めると、人間全てが哀れな存在なのです。
圧縮したドラマの中では、
詳しく触れられない場合もあるでしょう。
そういうときは、自分の頭で考え想像してみてください。
韓流ドラマと違って、
細かい点についての”ネタあかし”
がありません。
この物語の内容を理解するためには、
自分の頭で考える必要があります。
奥が深いのです。
だから何度観ても(読んでも)新たな発見があり、
”名作”と呼ばれているのです。
N・Sさんも、今後、この『レ・ミゼラブル』を
いろんな状況で思い出すことになるのでしょう。
そして、あのシーンは、どういう意味だったのか、
ず~っと考えていくことになるのでしょう。