アメリカ映画『誰がために鐘は鳴る』(1943年)~日本の国策映画との比較

 N・Sさん...


私のほうは、今、『誰がために鐘は鳴る』

という映画を観ています。

これはアメリカ映画でして、

第二次世界大戦真っ只中の1943年に製作されています。

フルカラーです。アカデミー賞をとっています。




『誰がために鐘は鳴る』は、

アーネスト・ヘミングウェイが1940年に発表した

同名の長編小説を原作としております。

人生で絶対読んでおくべき名著の一つなのですが、

あまりに長編なのでなかなか読めません。

だから、映画で観てしまうのが良いと思います。


◎ 第二次世界大戦前夜のスペイン内戦


この『誰がために鐘は鳴る』は、

1936年から39年にかけてスペインで起こった

スペイン内戦を題材・時代背景としております。


アメリカ・イギリスのことであれば格別、

スペインのことなんてどうでも良いのでは・・・

と思っていませんか(笑)?


このスペイン内戦は、

ドイツとイタリアが同盟を組む切っ掛けを作り、

その後の第二次世界大戦の構図を作り上げたのです。

だから、歴史上、非常に重要なポイントなのです。

「第二次世界大戦前夜」だと評されております。


◎ この映画を観るための基礎知識


『誰がために鐘は鳴る』を観るためには、

当時のスペインや世界の情勢について、

予め勉強しておく必要があります。

少しだけ解説すると・・・、


まず、スペインにはブルボン朝

(フランスの王家の血筋)の王様がいました。

が、市民革命によって、王政が吹っ飛んだのです。

そのときに、人民(貧乏人)の代表者が

自分たちに有利なように共和制国家を作りました。

社会主義者や共産主義者たちがメインでした。

共和制国家は、反ファシズム(ドイツのヒットラーや

イタリアのムッソリーニの考えを否定するということ)

を理念としておりました。


ところが・・・、

その状態だと金持ちたち(資本主義者)が困ります。

お金儲けできないですからね。

なので、軍部のフランコ将軍に共和制国家を叩き潰し欲しい

とお願いしたんです。

ドイツやイタリアにも援軍を求めました。

共和制国家のほうは、ソ連に援軍を求めました。

こうして、スペイン国内で、

社会主義者・共産主義者vsファシスト支持者

の闘いが起こったのです。

ソ連とドイツ・イタリアの代理戦争みたいな感じです。

アメリカやイギリスは、高見の見物をしておりました。

お隣のフランスは、既にドイツに占領されておりました。


こうして、ドイツとイタリアの危険な二人

(ヒトラーとムッソリーニ)が出会ってしまったのです。

そこにアメリカ・イギリスと対立していた日本が加わって、

ドイツ・イタリア・日本の「三国同盟」が出来上がったのです。

当時の日本政府も、

軍部が政治を操る極右国家(ファシズム国家)でした。

こうして、世界中を股にかける「第二次世界大戦」

がはじまったわけです。


以上が、この映画を観るための基礎知識です。


中学生とかには、学校でこうした名画を観させて、

そのうえで社会科(歴史)の先生が解説していけば、

視覚的に印象付けられて、

教育効果が高まるのではないでしょうか、ね。


◎ 1943年頃の日本の国策映画


このアメリカ映画『誰がために鐘は鳴る』

が作られた頃、日本では、物資が不足してきており、

「欲しがりません、勝つまでは」

というような貼り紙がなされたり、

全国の家庭から金属製品を徴収して溶かして武器にしたり、

野球用語を「よし、一本!」のような日本語に変えたり、

日本にいる外人をスパイ容疑で捕まえたり、

国外追放にしたり・・・w。

つまり、日本に余裕がなかった時代です。

なのに、アメリカでは、映画を作って

観て楽しむ余裕があったのです。

こんな国を相手に戦争をしていたなんて、

日本は愚かです。

しかも、神風が吹いて神国日本が絶対に勝つ

と信じていたわけです。


日本でも、国策映画と呼ばれるものが

国の主導によって作られておりました。

当時の映画『決戦の大空へ』(1943)の一部が見れます。


これ、貴重な映像なので、見ておいたほうが良いですよ。

兵士になって戦争へ行くことを美化する内容です。

白黒だし、画質は悪いし、面白くないし、

アメリカ映画『誰がために鐘は鳴る』とは

比べ物にならないくらいヒドイです(笑)w。



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