韓国ドラマ『7人の脱出』7인의 탈출(2023年)~ソロモン王の審判

 N・Sさん...


私のほうは、韓国ドラマ『7人の脱出』

(原題:『7인의 탈출』)を観ております。

観ている途中で眠ってしまったりして、

何処から記憶がないのか探し出すのが

大変だったりします(笑)w。


このドラマ『7人の脱出』は、

まったくのフィクションなのですが、

現代という時代の韓国が

どのような社会になっているのかが

よ~く描かれております。


結論を先に書きますと・・・、

現代韓国はキリスト教国なのです。

キリスト教の思想が、

このドラマのあちこちに散見されます。


かつての朝鮮は儒教の国でした。しかし、

21世紀の今日、韓国社会の多方面に

キリスト教の影響が出ている。

そのことをこのドラマは示しているのです。

このドラマは、そういう歴史資料です。


◎  ”原罪”を抱えている人


このドラマのシナリオは、非常に複雑です。

”正しい人”というのがいない。

登場人物の多くの人が問題を抱えている。

絶対的正義がないのです。

”原罪”を抱えている人たちなのです。

正しそうに見える人は殺されたり、

社会的に抹殺されてしまっているw。

悪人が世の中をのさばっているのです。


”原罪”(original sin)っていうのは、

キリスト教における基本発想なのですが、

多くの日本人にはわかりにくい単語ですね?

仏教の言葉で言えば、”煩悩”(ぼんのう)

に該たると思います。

この”煩悩”のほうが日本人には

判りやすいかもしれない。


◎  原罪から「脱出」できるのか?


ドラマタイトルに「脱出」(탈출)

という単語が使われているのですが、

何処から「脱出」しようとしているのか?

を考えながら観ていくと面白いですよ。


原罪を負っている状態から抜け出そう

ということでしょ?

しかし、結論は決まっております。

人間は原罪から抜け出すことはできないです。

どうしてかって?

もともと人間は原罪をかかえて生まれてきている

からです。それがキリスト教の根本発想です。


このドラマには、教会も神父も

『聖書』の言葉も出てこないし、

もちろん神様だって出てこない。

悪魔のような発想をもった悪人たちが

沢山でてくるだけです。

しかし・・・その背景に、なんとなく

キリスト教の発想を感じさせます。

やはり韓国はキリスト教国なんですよ。

ドラマ視聴者は、”神の視点”で

登場人物たちを観察していくことになります。


◎ 『ソロモン王の審判』


『7人の脱出』第22話「子供の両親」

38分49秒には、さりげなく

『ソロモン王の審判』(ニコラ・プッサン作)

の絵が2秒くらい背景で映っています。

普通の人であれば、気にしない描写でしょうが、

この2秒がドラマ全体を物語っている

ように感じます。



ドラマ『7人の脱出』の脚本家は凄いですね。

絵画のほうにも興味があるようです。

私のほうは、たまたま見たことのある

絵だったので、判りました。

図書館の絵画コーナーの絵画集を

ペラペラとめくっただけでも、

けっこう覚えているもんなのですねぇ。


ところで・・・N・Sさんは

『聖書』の中の「ソロモン王の審判」の話

知っていますか?とっても有名ですよ。

日本の江戸時代の大岡越前の有名な逸話と

まったく同じです(笑)。

日本の古典落語でも取り上げられております。

どうしてでしょう?

推理してみてください・・・。

日本がパクったからなんです(笑)w。

あの大岡裁きって、フィクションなんです。

ぜひ知っておいたほうが良いです。


◎  ホンモノとニセモノの区別


このドラマ『7人の脱出』では、

ホンモノとニセモノの区別についても

取り上げられております。

登場人物のセリフの中に、

そのことが現れてきます。


◇『7人の脱出』第23話「32時間の戦い」24分18秒~

「実のところ、ホンモノはニセモノより劣るものさ。

なのに皆勘違いして、もてはやす。

馬鹿だな。笑えるだろう?」


◇『7人の脱出』第28話「ホンモノとニセモノ」28分8秒~

「どうせ人間はホンモノとニセモノを

区別できない。信じたいものを信じるだけだ。」


これらのセリフは、脚本家が

西洋哲学を勉強していることを推測させます。

「ホンモノ」っていうのは、

西洋哲学における「理想状態」のことを

意味しております。


このドラマの脚本家は、

現代政治学(マスメディア論)についても

勉強しているようです。

◇『7人の脱出』第23話「32時間の戦い」34分43秒~

「大衆はメディアの話をうのみにして

その真偽を確かめようともしない。

刺激的であるほどデマは急速に広まり

真実を覆い隠してしまう。」


◎ 脚本家キム・スノク


このように、キリスト教や哲学、絵画、

政治学、マスメディア論・・・など、

多方面の分野を勉強した人が

脚本を書いていることがわかります。

脚本家の名前は、キム・スノクです。

梨花女子大学を出た女性のようです。


梨花女子大学って、明成皇后が作った

朝鮮史上初の女子高等教育機関です。

ドラマ『明成皇后』に出てきました。

この点、N・Sさんも覚えていますよね?


日本では、こういうドラマは

作れないでしょうねぇ・・・w。

今の日本の話題作ドラマって、

たいてい漫画(コミック本)が原作でしょ?

たいてい恋愛モノでしょ?

あるいは学園モノでしょ?

出演している俳優さんが美男美女であることが

重要のようで、内容が感じられないんです。

発想が”浅い”ものが多いんですよ。

脚本に背景知識が乏しいことが多いのです。

たぶん脚本家が勉強不足なのでしょう。

だから、面白くないのでしょうw。


◎ 韓国の手話(한국수어)「幸福だ」


N・Sさん...私のほうは、この休みを使って

『7人の脱出 season2―リベンジ―』(2024年)

を最後まで観終わりました。

ドラマの中に登場する世界は

非常に腐っております。

その腐った地獄状態の中で生きている

腐った登場人物の中の英雄たち数人が

立ち上がり、自らの生き方を改め、元凶と闘い、

地獄のような苦しみから脱出しよう

という内容です。


気になったセリフを書き留めました。


◇第23話 「秘密チャットの力」15分13秒~

「人間というのは偽の情報に弱いものだ。

本物より偽物のほうが刺激的で面白いからな。

偽物を喜ぶうちにそれが本物になる。」


◇第30話 「2人の息子」2分37秒~

「真実は重要じゃない。

人々は勝手に想像して話を盛るもの。

そのほうが面白いしお金になるからよ。」


ドラマ最終話15分46秒~のところで

手話が使われております。

韓国の手話は日本の手話とよく似ております。

50%くらい同じらしいです。

よくは調査しておりませんが、おそらく

日本の統治時代に伝わったのでしょう。

顎の下を三角形に2回なでて、

「幸福だ」(행복해요)と言っておりました。


結局、このドラマの主題は、

幸せになりたいという普通の感情を

回復することが重要だ・・・・

というものではないか?

そんな具合に考えました。



 歴史ドラマ・映画研究 観賞備忘録 index