韓国・中国合作映画『MUSA-武士-』무사 (2001年)~ 『東アジア史』の視点
N・Sさん...
私のほうは、2連休だったので、
また生活リズムが狂っておりますよ(笑)。
韓国・中国合作映画を1本観ました。
『MUSA-武士-』という映画です。
時代背景は、高麗末期の1375年です。
音楽を日本の鷺巣詩郎が担当しています。
◎ 韓国ドラマ『六龍が飛ぶ』の少し前の時代
N・Sさんは、韓国ドラマ『六龍が飛ぶ』
を観たことがあるはずですが、
そのドラマの最初のほうで、
イ・ソンゲ将軍の息子のイ・バンウォンが
明国の首都南京へ朝貢外交へ出かけたのを
覚えていますか?
N・Sさんが「どうして南京なのか?」
と疑問に思っていましたね。
復習を兼ねて、この映画を観る
と良いかもしれません。
当時、高麗の隣国である中国では、
モンゴル族が作った元(げん)という国
の勢力が弱まり、
漢民族の朱元璋(しゅげんしょう)が興した
明(みん)が、元(げん)を北方のほうへ
押し戻そうとしていたのです。
朝鮮半島では、長くに亘って高麗が元とくっついて
元の支配を受けてきたのですが、
朝鮮という国を興すイ・ソンゲ将軍は、
新たに台頭していた明国を選択したのです。
つまり、高麗の王(ワン)氏に代わって
李(イ)氏が朝鮮という国を興すのは、
中国における元から明への権力移行に関連した
政変(クーデター)だったと言えます。
イ・ソンゲ将軍は、高麗王からの命令で、
明と戦うべく進軍しますが、途中で引き返しましたね?
覚えていますか?
あれは、強大な力をもつ明と戦うべきではない、
むしろ元との関係を解消して、
元とくっついた王(ワン)氏を国王の座から下ろし、
今後は明と仲良くしていかないと
朝鮮民族が滅んでしまうということで
イ・ソンゲ将軍がクーデターを起こし
李氏朝鮮王朝が始まったのです。
この映画『MUSA -武士-』は、
わりと史実に合致しているのですが、
イ・バンウォン(1367年 - 1422年)はまだ出てきません。
イ・バンウォンが明の首都・南京へ行ったのは、
1394です。この映画の時代のちょっと後なんですね。
◎ 『東アジア史』の視点
当時のアジアにおける国際情勢を知るには、
良い映画だと思いますよ。
日本の公教育では、
歴史を『日本史』と『世界史』とに分け、
『世界史』については、主として
西洋(ヨーロッパ)の歴史を学ぶのですが、
そういう枠組みでは見えてこないものがあります。
日本は東洋の端っこに位置しており、
朝鮮半島や中国、モンゴルなどの隣国と関係して
歴史が動いてきたのです。
歴史ドラマを観る際には、
いつも隣国の動きに留意したほうが良いですよ。
日本史は、むしろ『東アジア史』の一部分として
学んだほうが良いと思います。
たとえば・・・ですよ・・・、
日本の大和朝廷が発足するのは、
朝鮮半島の百済という国の後ろ盾があったからですし、
日本の重要なターニングポイントである
大化の改新(645年)は、
単に藤原氏と蘇我氏との権力争いではなく、
中国と朝鮮半島3国(高句麗・百済・新羅)
が絡む国際紛争の一端だったのです。
この4000年の間、中国が東アジアの中心として
動いてきたわけで、少なくとも中国の歴代王朝名は、
覚えておいたほうが良いですよ。