韓国ドラマ『赤い月青い太陽』(2018年) ~徐廷柱 서정주の詩『ムンドゥンイ』문둥이

 N・Sさん...


私のほうは、次のドラマを観始めました。

『赤い月青い太陽』という2018年制作の

韓国ドラマです。

韓国語原題は『붉은 달 푸른 해』であり、

日本での邦題はこれを直訳したものです。




このドラマは韓国内で賞を取っているし、

ネットユーザーの90%以上が

高い評価を下しております。

従って、秀作の部類に属すると思われます。

だから安心して観れます。


◎徐廷柱『ムンドゥンイ』


そのドラマ『赤い月青い太陽』の第2話に、

次のような詩が出てきました。

徐廷柱(서정주 ソ・ジョンジュ)という詩人が

書いた有名な詩のようです。


문둥이 ムンドゥンイ(らい病者)

해와 하늘빛이

太陽と空の光が

문둥이는 서러워

ムンドゥンイはうらめしくて

보리밭에 달 뜨면 

麦畑に月が浮かぶと

애기 하나 먹고 

赤子ひとつ食べて

꽃처럼 붉은 울음을 밤새 울었다.

花のように赤い涙を(流して) 夜どおし泣いた




徐廷柱서정주 ソ・ジョンジュ

1915年5月18日 - 2000年12月24日)

っていう詩人は、終戦前には

親日派の文人だったようで、

戦後になって否定された人なんですよ。

忘れ去られた詩人の作品を

このドラマの中で注目している、

っていうのは凄いことです。


徐廷柱の『ムンドゥンイ』の詩の意味、

N・Sさんは判りますか?

らい病のことは知っていますよね?

らい病は、昔から人類を悩ませてきた

難病の一つで、ハンセン病のことです。

『聖書』の中にも、

手塚治虫の『火の鳥』の中にも、

韓国ドラマ『ホジュン』の中にも出てきます。

わりと最近まで明確な治療法がなく、

人間の赤子の肝臓を食べると治る

なんていう迷信が出回り、それゆえに

らい病者たちは赤子をさらって食べている

なんていうデマが流れてしまい、

らい病者たちへの偏見・差別が生まれたんです。


終戦前には、日本が朝鮮半島を統治しており、

日本の『らい予防法』とほぼ同じ法令が施行され、

らい病者たちは小鹿島(ソロックド)

隔離されておりました。

戦後の韓国では、定着村政策が施行されたのですが、

人々の偏見差別は無くならなかった。

2000年代に入って訴訟が提起され、

徐々に名誉回復が進んでいるようですよ。


◎教育に携わる者の責任


第11話「点から線へ」15分43秒~には、

「あなたは子供に関わる仕事に

向いていない」

という日本語字幕が出てきます。

主人公の児童心理学者が

保育所で働く女性スタッフに言っている

言葉です。私のほうで直訳すると・・・

「先生は、子供たちに接するのは

やめてください、絶対に。」となります。

本当のセリフは、日本語字幕よりも

もっと単刀直入でキツイ感じがします。


心理学をよ~く勉強した専門家からすると、

素人=ニセモノが、”先生として”

子供の養育に携わっているのが

許せないのでしょう。

仮に正式な認可保育所でなくても、

そして無給のボランティアであっても、

やってはいけない、ということです。


子供を産んで育児を経験した女であれば、

他人の子供を預かることくらいできるはず?

いやいや、そんなことないのです。

人助けのため、或いは社会のために

自分の持て余している時間や財産を

使って奉仕したいというのであれば、

たとえ無給ボランティアであっても、

しっかりと知識を身につけ

明確な責任をもって事柄に当たるべきですよ。

それがボランティアをやる人の責任です。

”タダなのだから質が悪くても我慢してくれ”

というのでは困りますw。

だって、子供の長い人生に影響してくるからです。


ましてや・・・、多少であっても

お金を貰うというのであれば・・・、

それは仕事として、

最大限の責任を果たすべく、

専門的知識や公的資格を身につけて

誰に恥じることなく正確かつ繊細に

事柄に当たらないといけない。


◎専門家はシツコイ


どうやら・・・、児童虐待やDVを

扱ったドラマのようです。

心理学を専攻した児童相談員と刑事が、

不可解な事件の真相に迫ろうとしております。


興味深い点は・・・、

多くの人たちが気付かない細かい

断片(痕跡やヒント)に、

主人公たちが気づくという点です。

何かの専門分野を持っている人は、

一般人がおよそ気が付かない点に

気がつくんですよ。そこが面白い。


児童心理学者のほうは

その方面からアプローチし、

刑事たちには犯罪者たちとの過去の

接触の経験から”刑事としての勘”

が働いている。

2つの方向(視点)から、

専門家たちが同じ事象を観察すると、

多くの人が見落とした真相へと

接近することが可能になるようです。


専門家たちに共通なのは、熱心さです。

疑問に思った細かい点をず~っと

引きずって、考えることができる。

納得がいくまで考え続ける。

すっごくシツコイんですよ。

粘着質なんです。

ある意味・・・病的です(笑)。



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