中国映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海』(2016年)

N・Sさん


『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海』
(2016年中国映画)を観終わったところです。
アメリカでは公開されていない中国映画なので、
アカデミー賞とは本来的に無縁ですが、
名作映画であると言われております。

制作には、多くの日本人が参加しております。
日本人を演じているのは日本人だし、
音楽を担当しているのも日本人です。
実質的には、中国・日本の合作映画。
なのに、日本では新宿と心斎橋の2館だけでの
上映となりましたw。

挿入歌に英語歌詞曲が使われ、
英語説明字幕も盛り込まれているのに、
アメリカやイギリスでは公開されなかった。



あまりに難解すぎて、2度観てみました。
どうして難解になっているかというと、
話のストーリーをブッツンブッツンと切って、
時の流れが行ったり来たり、
滅茶苦茶になっているからです。
わざとそういう構成にしているのでしょうが、
その回数が多すぎて、
しかも劇中劇というものも挿入されており、
滅茶苦茶ですよ(笑)w。

この映画を観終わった人の多くは、
たぶん理解困難なゆえに、
”良い映画に違いない”
”この映画を作った監督は天才に違いない”
って思うのでしょう。
しかし、本当にそうなのか・・・?


時代設定は、1937年~45年頃。
上海、香港、重慶、フィリピンの様子が描かれております。
が、当時の様子を本当に再現できているか、甚だ疑問です。

主人公の日本人は、日本の陸軍が
中国に潜入させたスパイだと思われます。
中国人側の主人公はマフィアだという設定ですが、
おそらく資本主義者ですね・・・。
後に、香港かフィリピンか台湾へ
渡っていくことになる人だと思われます。
日中戦争がはじまる直前期から、
共産主義者(社会主義者)と資本主義者との間で
抗争があったことが描かれております。


この難解映画を2度観た私の結論は・・・、
この映画は、映画作りのテクニックを駆使してますが、
史実に即していないと思われる妄想部分が
多々含まれているので、
観客や後世の人に誤解を与えかねない
ということです。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海』
は、ダメですねぇ。
取扱注意の危険な映画だと思いますww。
映像美が感じられるし、名優が出演しているので、
名作と誤解させる要素が沢山含まれており、
紛らわしいんですよ。

もしかしたら日中戦争を誘導した日本のスパイ
っていうのが、本当にいたかもしれないですねぇ?
しかし、「かもしれない」の推測レベルなので、
もしアメリカで公開されていたとしても、
そういう推測主張の映画に、アカデミー賞などの
映画賞は授与されないでしょうねぇw。

この映画の中では、
軍部主導で中国を支配しようと考える日本人Aと、
経済的な繫がりで中国と共栄しようと考える日本人B
の二つのタイプが出てきております。そして、
第二次上海事変は、日本人Aが日本人Bを殺したのに
それを中国側の暗殺だと言いがかりをつけて始まった
とされています。
それは、たぶん本当のことでしょう。
同時に、中国側でも、
資本主義者Cが共産主義者Dを殺しております。
それも、たぶん本当のことでしょう。

つまり・・・、あの日中戦争というのは、
日本人vs中国人の戦いという単純なものではなく、
もっと複雑であって、
それぞれの国を誰がどのように主導していくか
という未決定の時期(過渡期)に、
それぞれの派閥争いの結果始まったものだ、
ということですね。
この映画は、そういう仮説を主張しているのです。



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