ハンガリー映画『サタンタンゴ』Sátántangó(1994年) ~資本主義国家の中の社会主義

N・Sさん... 


私のほうは、ようやく

7時間18分の長編映画『サタンタンゴ』

を観終えました。

この映画の原作本を書いたクラスナホルカイは、

2025年にノーベル文学賞を受賞しました。


この『サタンタンゴ』のテーマは、

”社会主義が人間の精神に与える影響”

のようです。そんな作品が今頃になって

ノーベル文学賞に選ばれたのは、

どうしてなのか?

を考えないといけないですねぇ。


私のほうは、ハンガリー語音声で

見たのですが・・・、言葉がよくわかりませんw。

しかし、この映画を見た先人たちが書いている

幾つかの「あらすじ」を読みつつ映像を観て、

その全容をだいたい把握できました。



タラタラ・・・と

倦怠感漂うツマラナイ映画ですよ(笑)。

しかし、それが原作者の意図でもあると考えます。

社会主義体制っていうのは、

タラタラと時間が流れるツマラナイ空間なのです。

刺激がなくて、夢中になれるものがなくて・・・、

生きている実感がわかなくて・・・、

楽しくない社会なのです。

そういう雰囲気をよく描き出していると言えます。

ただ歩いているだけのシーンや

セリフのない無言シーンがやたら多いですw。

ニセモノが弱者を騙し、弱者はさらに弱い者を

苛める。異性のことばかり気になる。

規則に縛られ、監視され、身動きがとれない。


しかし、ふと気が付いたんです。

これは・・・、

いまの我々の生活に似ているのでは・・・?

仕事はやってもやらなくても、

頑張っても頑張らなくても給与は同じ。

個性を消され、群れの中で公平に扱われる。

つまり・・・、この映画は、

我々のことを描いているのですよw。

我々は、かつてのハンガリー国(社会主義国家)

と似たような空間で生活しているのです。

そういうことに気づかせてくれる作品です。


やはり内容がありますね・・・。

つまり、資本主義国の中にも、

社会主義国状態の空間というものがあり、

そこで生きている人たちが沢山いるのです。

映画冒頭に出てくるあの沢山の牛たちは、

我々の姿なんですw。

存在しない教会の鐘が聞こえてくるですが、

それは敬虔さを失った人間たちへの警鐘です。


社会主義というのは、かつては

理想的な政治体制だと観念されたのですが、

実際には違っていた。

歴史的にそういう実験結果が出た。

いまでは純粋な形での社会主義国家は

存在しないですね?

いまの中国は資本主義の要素を多方面で

取り入れており、経済大国ですよ。

豊かな中国人たちが日本に沢山遊びに来ていますね。

北朝鮮は、社会主義の枠組を使って

金氏一族が支配しているただの王政国家です。

あれは社会主義国とは言えない。


しかし、よくよく冷静に考えてみると、

資本主義国家の中にも

社会主義的運営がなされている空間が沢山ある。

それが”公平な”理想状態だと

信じられているからです。

我々は理想や公平社会という妄想=サタン

によって踊らされる弱い人間なんだ、

ということでしょう。


『サタンタンゴ』という作品は、

昔の社会主義体制下のハンガリーのことを

描いているのではなく、

現代の資本主義国家に住む我々の有り様を

描いているんですよ。

だから・・・、ノーベル文学賞なのです。


クラスナホルカイが書いた原作本については、

いつか読んでみないといけないですねぇ~。

また宿題が増えてしまいました(笑)w。